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書評 2026.5

図解 イノベーション入門

 組織体がイノベーションをどのように誘発させていくのか,「人事」を起点に100項目のシートで解き明かす実践ガイド。「イノベーションとは何か」という“そもそも論”からスタートし,先行研究やマネジメント論を確認したうえで,「越境」の概念を手がかりに経営・人事・管理者レベルで展開可能な道筋を示していく。人的資源の着眼からは「ヨソ者・バカ者・若者」をイノベーターになりうる存在に挙げ,対象者を選び,学習環境を整え,支援していく方策を考察する。また,事業化へ導くために「それは何?」「何でやるの?」「市場はある?」「儲かるの?」「勝てるの?」「できるの?」「本気なの?」という7つの問に応える根拠を用意。社内人材を動員する前提で「イノベーションと人事ポリシー」の関係を12の価値基準に整理したフレームを開示している。B5変形横開きという特殊な版型ながら,「解説+図解」をセットにした構成に慣れてくると,板書を確認しながら授業を受けてるような感覚で,ページをめくるのが楽しくなる。

●著者:坪谷邦生/井上 功  ●発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン
●発行日:2026年3月20日  ●体裁:B5変形版/277頁

中間管理職の法律相談

 経営層と部下との間で板挟みになる管理職には「法的リスク管理者」という新たな役割が加わったと,弁護士の著者は指摘する。本書はその役割の確認とともにどの組織にも共通する法的基礎知識をガイドする内容だ。書名に「法律相談」とある通り,「中間管理職の悩み」を起点に「回答(解説)+CASESTUDY(問題のポイント+法的視点と実践的対応)+まとめ」をセットにしたCHAPTER単位で構成。CHAPTERでは,労働時間,過労死リスクと安全配慮義務,不祥事と監督責任,人事評価の公平性,労働契約と就業規則,採用面接・採用差別の注意,ハラスメント対応,問題社員への対応,といったテーマが並ぶ。CASE STUDYでは,「遅刻やミスを指導したらパワハラだといわれた」「ここが踏ん張りどころだと,デキる部下に期待したら,うつ病になった」「成績不良の中途採用者に辞めてもらいたい」といったリアルな事例を載せ,対応ポイントでは「予防」と「初動」を強調している。リーガルスキルを過不足なく学習できる全管理職必読の1冊だろう。

●著者:長P佑志  ●発行:シチズンシップ
●発行日:2026年3月27日  ●体裁:四六版/283頁

ボスマネジメント

 勤労者個々人がキャリア自律を具体化していくとき,今いる会社の上司とどう向き合うか。本書はチャンスのカギを握る上司に対して部下の側から建設的に対話を進める方法を探っていく。上司は「避けたい」「我慢する」「運任せ」の対象ではなく,業務においては成果を一緒に作る人であり,キャリア形成では自分の望む働き方に協力してもらえる関係が望ましいと著者は語る。自分から切り出さなければ何も起きず,むしろ疑心暗鬼を生むリスクすらあるので,キャリアや働き方の希望は言語化して提案しないことには始まらないと覚悟を求める。ボスマネジメントは処世術ではなく信頼関係が基本になると確認したうえで,5つのマインドセットと5つのスキルセットを解説。「期待するが,期待しない」という現実的なポジションからのアクションには図らずも納得させられる。また,最終章「ボスマネジメントを受ける上司の心得」では,部下と建設的な対話をするための上司側のポイントを挙げているので,立場を超えて立体的に本質が理解できそう。

●著者:難波 猛  ●発行:アスコム
●発行日:2026年4月10日  ●体裁:四六版/328頁

誰もが成長し活躍する会社のしくみ

 書名からはアナログな社風改善事例などを想像するかもしれないが,本書の内容はデータに基づきAIをフル稼働して実現する革命的な組織運用の提案であった。いわゆる「スキルベース組織」を概観し,事例を示し,稼働させるまでをユーモラスかつ精緻,丁寧にガイドしている。スキルベース組織は,所属,役職,在職期間に関係なく,課題ごとに横断チームを組成し,常時回転させていくスタイルであり,キャリアパスは従来の「はしご」から「ジャングルジム」に変わると説明する。その前提で,固定的なジョブではなく組み合わせ自在なスキルのコントロールに人事のコツが求められるとして,スキル分析,共通言語化,マッチングの実務を追っていく。また,従来は評価対象外に置かれた「縁の下」「潤滑油」「器用貧乏」もスキル要素に分解することで価値が生まれ,その組み合わせから希少性が認められて大活躍した例も紹介する。人事のOSを入れ替えるような困難さは了解済みで,スモールステップおよび「100日プラン」から着手するヒントを示している。

●著者:小出 翔  ●発行:プレジデント社
●発行日:2026年4月14日  ●体裁:四六版/336頁

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【評】 久島豊樹 Kushima Toyoki






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