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なぜ御社の従業員は数字に弱いのか
ビジネス数学の専門家/BMコンサルティング(株) 代表取締役 深沢真太郎
「数字に強い(弱い)」あるいは「数字が得意(苦手)」といった概念があります。このテーマで教育研修を企画する人事担当者もたくさんいらっしゃることでしょう。実際の研修でどんなものが多いかというと,「会社の数字を読めるようになりましょう」といった財務研修であったり,「データを読めるようになりましょう」といった分析研修であったりします。ところが公認会計士の先生やデータ分析の実務家が担当するこれらの講座を導入しても,なかなか目に見える成果が表れないケースが多いと聞きます。いったいなぜでしょう。それは,冒頭の「数字に強い(弱い)」という概念の定義が曖昧だからです。 ■「数字に強い(弱い)」とは何か?
私はこの定義を「数量になっていないものを数量にする能力」としています。身近な例でいえば,上司に「なるべく早く処理します」と伝えるのではなく「1.5時間で処理します」と発言するケースはいかがでしょう。当たり前のように思われるかもしれませんが,「数量になっていないものを数量にする能力」とはこういうことです。 ■数字に弱い従業員の課題を把握できているか?
ある企業研修で管理職の方に【Q1】を投げかけたところ,「部門の生産性を上げることだ」とお答えいただきました。そこで私が「生産性を上げるとはどういうことでしょうか?」と尋ねると「効率的に仕事をすることだ」とのお返事。そこで私は再び「では効率的とはどういうことでしょうか?」と尋ねると,長い間のあとに「生産性を上げること……でしょうか」との答え。そのときは思わず笑ってしまいましたが,人材教育の観点では笑えないお話です。具体的に何をどうすれば生産性が上がったと評価できるのか,数字で定義しないことにはこの方は永遠に生産性を上げられないでしょう。これが「数字が苦手なビジネスパーソン」の正体です。
(月刊 人事マネジメント 2017年12月号 HR Short Message より)
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幼少の頃より数学に没頭し、大学院にて修士号(理学)取得。その後、予備校講師や外資系企業での管理職などを経て2011年に「ビジネス数学」を提唱する研修講師として独立。数字に苦手意識を持つビジネスパーソンを劇的に変えている。その独特な指導法は「史上最強にわかりやすい」と評され、担当した講義は100%リピート依頼がくる人気講師である。ラジオ番組のパーソナリティやビジネス誌の記事監修などメディア出演も多数。大学でも教鞭をとる傍ら指導者育成にも従事するなど、「ビジネス数学」の普及に務める。著作は国内で累計10万部超。一部は韓国・中国・台湾などでも多くのビジネスパーソンに読まれている。日本数学検定協会「ビジネス数学検定」1級AAAは国内最上位。BMMコンサルティング株式会社代表取締役。一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事。多摩大学非常勤講師。 >> BMコンサルティング株式会社 http://business-mathematics.com |