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書評 2019.01

会社を強くするパーソナリティマネジメント

 パーソナリティ診断ツールを用いて,採用・教育研修・評価面談等の機会に応用する方法を紹介した1冊。タテ軸に「感覚的・人間志向」対「論理的・課題志向」,ヨコ軸に「受動的」対「能動的」をとった4象限に52個のSP(サブパーソナリティ)を配し,その分布状況から対象者の内面を分析して,結果をマネジメントに活用していこうとの提案だ。同一人物でも状況によって出現するパーソナリティは異なるという前提で,本書では活用目的を主に「仕事・職場」に限定している。個人の特徴把握のほか,その集計結果からは組織の傾向も導き出せ,また,業種ごとに一定の傾向が認められることから,ミスマッチ予防や採用業務の効率化にも効果が期待できるとする。さらに,個人の長所・短所の把握によって自己理解・他者理解が促され,チームの成長,リーダーのマネジメント力向上にも応用が可能だとして研修の進め方をガイドしている。診断ツールは本書に公開されているので,コピーしてすぐ使える。まずは自己分析からトライしてはいかがだろう。

●著者:一橋克也  ●発行:セルバ出版/2018年11月21日
●体裁:四六版/168頁  ●定価:1,500円(税別)

まんがでわかるコンピテンシー面接

 生命保険会社勤務・加藤ちはる(27)の人事部配属から物語は始まる。他社から引き抜かれた新任人事課長・夏城雅史(38)は「コンピテンシー面接で採用を変える!」と宣言。章ごとにマンガと解説がセットになってコンピテンシーの本質概念と採用面接のポイントが理解できる構成でまとめられている。従来型の「評価項目に沿って質問し,考えて答えてもらう」のとは違い,コンピテンシー面接では「行動事実そのものを思い出して語ってもらう」ことで,成果の生み出し方を確認する点に特徴があるという。その運用にはいくつかのコツがあり,例えば,場面を特定し深く詳しく工夫点を聞き,面接官の思い込み(スキーマ)を排除するために,優秀かどうかの判断は後回しにすべきだとアドバイスを挙げている。行動事実を,レベル1(言われたことだけやる)からレベル5(革命を起こせる)まで段階別に評価する判断基準も要注目点だ。ハイスペック人材の自己PRを聞いて,優秀そうな印象で採用を決めるスタイルは全くの時代遅れだと気づかされる。

●著者:川上真史/齋藤亮三  ●発行:弘文堂/2018年11月30日
●体裁:四六版/173頁  ●定価:1,400円(税別)

伸びてる会社がやっている「新卒」を「即戦力化」する方法

 入社してから3年掛けてじっくり育てる従来型のアプローチではなく,採用活動の段階から候補人材たちと深く関わり,入社時にはトップスピードで成長を加速してもらい,既存社員にも刺激を与えていくようなダイナミックな実践を,採用育成コンサルタントの著者は熱く語っている。とりわけ,インターンシップの仕掛けを重要視し,早期から働きかける“超青田買い”ともいえる積極姿勢を訴えている。その内容は濃く,目標・責任・権限を持たせたビジネス体験型のプログラムを運営し,マッチング(見極め)を図っていく期間と位置づける。また,内定以降はお客様や学生ではなく社員として扱い,ビジネスセンスを鍛えるとともに仲間として迎え入れる本気の採用を実践例で紹介している。「内定期間の本人の取り組み次第で初任給に差を付けてもいい」とも提案。学生たちには「大企業以外にも魅力的な選択肢はある」とアピールしつつも採用側は決して人材レベルの妥協をしてはいけないと強調し,「成長する素材の5つの共通点」を公開している。

●著者:近藤悦康  ●発行:クロスメディア・パブリッシング/2018年12月1日
●体裁:四六版/384頁  ●定価:1,852円(税別)

残業学

 2万人対象の大規模な調査から「長時間労働」を学際的に扱った論考。ただし,分析の過程で見極められた問題の本質を10の講義(オリエンテーション+8講+最終講)に分類整理し,立場・年齢の異なる4人の受講生と質疑を重ねていくスタイルで構成しているので,読みやすさ,分かりやすさは抜群だ。長時間労働の実態解明に加え,残業を減らした後にあるべき我々の社会の姿までを考察し「希望の残業学」につなげている。“若いときには量をこなさないと成長しない”といった古典的な努力信仰論に対しては,それは未来志向の良質な学びなのかと問題提起で返す。残業は,できる人に集中し,職場に感染し,部下たちに遺伝すると言い当て,組織的・構造的に発生している現象ゆえ,個人の能力不足にすり替えたり残業禁止を強制したりしても解決にならないと指摘する。残業を減らす効果的な外科手術の手法に踏み込む一方,その限界も認め,骨太で生産性の高い職場を作るための「希望のマネジメント」と「希望の組織開発」を導き出している。

●著者:中原淳+パーソル総合研究所  ●発行:光文社/2018年12月20日
●体裁:新書版/335頁  ●定価:920円(税別)

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【評】 久島豊樹 Kushima Toyoki