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書評 2019.03

社会人1年目の仕事とマナーの教科書

 27年間・のべ50万人を超える新人を指導してきたという著者による手堅い社会人入門書。マナー(服装,振る舞い),仕事の受け方・進め方,報連相に加え,CSR・コンプライアンス意識まで配慮された内容を,イラストを多用してビジュアルに仕上げている。仕事の基本では,会社の仕組み・業務の目的・自分の立場をしっかり考えさせ,新人だけでなく,先輩・ベテランの社員でも改めて自覚を促されされそうなコンテンツだ。また,固定電話の取り次ぎ,ビジネスでの携帯電話の受発信,Eメールの作法,SNSのリスク,飲み会の幹事の段取りまで時代のニーズに応えたトピックを盛り込み,とりわけコミュニケーション力のブラッシュアップには多くのページを割いている。クレームを伝えてきたお客様への対応,誠実な気持ちを伝えるマジックフレーズ,ビジネスシーンでの敬語・定番用語・肯定的な言い回し表現等,実践的なテクニックが整理され,ビジネスパーソンのスマートな動き方を支援してくれている。入社のタイミングで1人に1冊手渡したい。

●著者:古谷治子  ●発行:かんき出版/2019年1月21日
●体裁:四六版/239頁  ●定価:1,300円(税別)

知らない人を採ってはいけない

 人手不足の切り札として,著者は「リファラル採用」(=社内外の信頼できる人脈を介した紹介・推薦による採用活動)の有効性を説く。自社にふさわし人材を「想い」のレベルから見極める仕組みを求め,旧来の縁故採用とは次元の違う人材獲得マネジメントを提案している。面白いのは,まず「社長と会社が好きなメンバー」でプロジェクトを作りステップを踏んで展開していく点だ。これには,「想い」からズレた人の採用を防止する意図があるという。また,会社の魅力と実態を正直に記した「アピールブック」を作成し,社長の率先垂範で共感者を本気にしていく迫力ある運営を強く勧めている。何事も隠さずオープンにする姿勢を徹底し,入社後の“こんなハズじゃなかった”を防ぐとともに,中期経営計画で3年後に改善される姿を示し「一緒にその実現を目指そう」と候補者を誘う周到な手法も公開している。パイロットプロジェクトから進め,好循環を築いていけば永遠に採用に困らない会社ができると語り,本書後半には5社の成功事例を紹介している。

●著者:白潟敏朗  ●発行:KADOKAWA/2019年1月23日
●体裁:四六版/224頁  ●定価:1,400円(税別)

THE PLATINUM COMPANY

 副題に「100の処方箋で人手不足を乗り越えて」とある通り,本書には100話の人材論が綴られている。序「労務」,破「人事」,急「そして働き方改革」の3部で構成された,関西圏,中小企業,経営者目線のコッテリとしたベテラン社労士によるエッセイが味わい深い。労務管理では『貞観政要』を必読書に挙げ,また,人事制度の意味を冠位十二階・十七条憲法から説き起こすなど東洋の知見を随所に盛り込んでいる。一方で,人材採用ではインターンシップやリファラル採用を提案し,賃金制度では,前払い制やビットコインにも注目,働き方改革ではHRテックや週休3日制など先取的なチャレンジにも言及している。外部環境を捉えて,人手不足という椅子取りゲームがすでに始まっていると警戒しつつ,解決にあたって「奇策は何1つない」と断言。地道に社員ファーストの経営に徹するしかなく,究極のマネジメントを絞り出すとすれば「頼むわ」「すまんな」「ありがとう」の大阪弁3語に凝縮されるとも語る。古くて新しくてどこか楽しい1冊。

●著者:土橋純二カ  ●発行:風詠社/2019年1月29日
●体裁:四六版/234頁  ●定価:1,500円(税別)

「承認欲求」の呪縛

 これまで「承認」のプラス面(褒めると伸びる効果)を訴求してきた著者は,本書では一転,マイナス面に着目している。仲間ウケを狙ってSNSに問題動画を投稿したり,世間から認められたくて重大犯罪を起こしたりする反社会的行動に走るパターンが1つ。さらに本人が意識していない危険なパターンもあると語り「承認欲求の呪縛」と言い当てている。典型例にメダリストの自殺を挙げ,「認められたがゆえに逃げ場を失う」構造を解き明かしている。称賛されるキャラを演じ続けて無理を重ねたり,「責任感がある」という評価に応えようとして過労死に追い込まれたり,落ち目を恐れたエリートが不正に走ったりするケースには,いずれも同質の病理が認められると指摘。褒めてやる気を引き出すマネジメントが「承認欲求の搾取」と紙一重にある関係も見出している。後半では,呪縛から解放されるために,@認知された期待を下げる,A自己効力感を高める,B問題の重要性を下げる,という3方向からの処方を整理し,脱出のヒントを詳述している。

●著者:太田 肇  ●発行:新潮社/2019年2月20日
●体裁:新書版/239頁  ●定価:780円(税別)

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【評】 久島豊樹 Kushima Toyoki





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