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書評 2019.04

「全員活躍チーム」リーダーの心得

 様々な職場のチームに入り込み,半年以上の時間を掛けて組織変革を支援している著者は,そのコンサルティング実績と内外の知見・研究成果をベースにリーダーの心得を本書にまとめている。マネジメント知識やコーチングテクニックの前に“自身の在り方”の認識が最も重要なポイントではないかと提起し,縦横に考察を進め,「ビジネス本というより探求本」とご自身は表現する。「自燃」「誠実」「無私・利他」を前提に,@自分軸,A他者軸,Bチーム軸,C組織軸,で構成された計42の「心得」と,最終章にD歴史軸を加えた5つの軸で本質論を説き起こす。リーダー個人の言動の一貫性や支援的なスタンスへの言及はもちろん,全員が全体観を持ってリーダーシップを発揮できる状態を理想に挙げ,個人の集まりを超えた組織の成果を生み出す仕掛けに踏み込む(その際は,評価制度の設計も個人の成果ではなくチーム貢献度のウェイトを高めるべきだと指摘)。ワントピックごとに読みやすい量で整理し,読者をリーダー道場の世界へ誘い込んでいる。

●著者:小笠原健  ●発行:総合法令出版/2019年1月23日
●体裁:四六版/264頁  ●定価:1,400円(税別)

管理ゼロで成果はあがる

 本社オフィスを撤廃し,社員の半数が地方で在宅勤務する(全員フルタイム社員)プログラミング会社社長による組織運営実践報告だ。創業から8年・35人の組織ながら,管理職なし,上司なし,全員が自律的に考えて動くホラクラシーを実現している。この間,同社は,@生産的に,A自律的に,B独創的に,という3段階で進化してきたと振り返る。基本給一律,賞与山分け,休暇取得放題,雑談も飲み会もオンラインで……著者自身「フリーランスより自由に働ける」と語る通りのユルさだが,ルールで縛らない分“価値観”への執着は一貫している。中途採用では応募から入社まで1年をかけ,仕事を通じたワークレビューで価値観を伝え続けて信頼の構築を重ねていく。この間の負担は採用コストともいえるが,その分,入社後の管理コストは不要になると割り切る。サブスクリプションを取り入れた納期のない仕事,売り込み営業の必要がないビジネスモデルに行き着き,なおも進化し続ける同社からは,近未来の産業と新次元の働き方の姿が予感させられる。

●著者:倉貫義人  ●発行:技術評論社/2019年2月7日
●体裁:四六版/272頁  ●定価:1,580円(税別)

社会人1年目の教科書

 大手不動産企業を経て3年で独立。30代で数百億の資産を運用する若手経営者の半生記かつ生き方の指南書だ。「仕事」「目標」「人間関係」「成長」の4章に分け,入社1年目に象徴される20代の若者に向けて熱いアドバイスを綴っている。いずれのトピックも「伸びない人」と「伸びる人」との対比から典型的な差異を見出し,勘所を指摘している点が興味深い。例えば前者は夢や目標を持つだけなのに対して,後者は夢や目標から逆算して今日の行動に落とし込めていると描写する。また,前者は失敗を避け続けて成長を止めてしまうが,後者は失敗を重ねて成長の糧にしているとも観察している。そもそも仕事とプライベートは対立概念ではなく,公私にわたって面白がって没頭する時期があってもいいと是認しつつ,それでパフォーマンスが上がるのなら「週休3日」もありだと独自の勤労観を語る。時流に迎合したスマートで効率的な働き方のテクニックとは真逆の,あえて自らに試練を課し,それを乗り越えて成長する泥臭い覚悟を訴求しているようだ。

●著者:菅沼勇基  ●発行:クロスメディア・パブリッシング/2019年3月1日
●体裁:四六版/192頁  ●定価:1,380円(税別)

40代からのライフシフト 実践ハンドブック

 『ライフ・シフト』(リンダ・グラットン)の概念に沿って日本のサラリーマンのキャリアのあり方を説き起こした1冊。無自覚に会社任せでいると,50代で役職定年,60歳で定年,再雇用されて65歳。下降曲線のままそこで突然すべてが断たれる危機を指摘する。人生が100年であるなら80歳現役程度の認識が求められるとして,早い段階からキャリア形成を意識した準備行動を始めるべきだと述べている。それは,定年後の再就職先探しや生活費の補填という次元ではなく,仕事を通じた社会参加を深く考える“思い”の探求が伴うとも補足。何をやるかを見極める原点も,現状を抜け出す力も“思い”が核になるとの構図を描き,実現に近づくためのステップを「ライフ・シフト・ナビ」と名付けて解説している。活動の幅を広げ,不足する知識を学び,その気づきを他者の力も借りながら実践し,さらに広い世界に踏み出していくといった挑戦者たちの好循環事例も紹介。加えて企業人事部には,キャリアデザイン研修等による飛び立つ力の支援を提言している。

●著者:徳岡晃一郎  ●発行:東洋経済新報社/2019年3月7日
●体裁:四六版/260頁  ●定価:1,800円(税別)

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【評】 久島豊樹 Kushima Toyoki





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