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多様性が増す時代に役立つコーチングの階層別活用法
NPO法人 WinWin育成協会 理事長 上野恭子 ■若手社員の段階では人間関係に有効
部下指導のためのコミュニケーションスキルとして,コーチングは浸透してきた。そして,多様性ある組織が増える今,ますます,コーチングスキルの必要性が高まっている。ただ,若手社員の早期戦力化や離職防止を考えると,管理職になってからではなく,現場リーダー,さらには1人でも後輩を持ったら,コーチングスキルを身につけさせたい。 ■管理職にはファシリテーションや面談の場面で
管理職研修の一環として,コーチングのスキルを習得させる企業は多い。しかし,多忙な業務,変化の速いマネジメント状況では,話を聴くだけで精いっぱいになり,叱り方に苦労するケースを見聞きする。管理職に対しては,コーチングをスキルとして使うだけでなく,会議の運営や面談の運用という仕組みに取り入れることで,自立型人材育成という真のコーチングの効果が表れる。そのためには,コーチング研修とともにファシリテーション研修を行い,コーチングを会議で活用することが有効だ。この2つの研修を,管理職昇進時の研修と位置づけ,5年でコーチング文化を浸透させた会社(建設業)もある。また,面談においてコーチングスキルを活用すれば,役割や目指す姿を自覚させ,本人が高いモチベーションを持って目標への行動をコミットできるよう促せる。コーチングの「質問のスキル」を用いたファシリテーション手法は,部下育成のみならず,商品開発にも有効だ。特に女性向け商品開発の分野では画期的な成功が出ている。 ■ベテラン社員では自己変革の手がかりに
「ベテラン社員にチャレンジ精神がなく,古い体質から変化できない」と耳にする機会が増えてきた。それは,働き方改革の課題だという見方もあるが,「いつの時代も変わらない,人としての発達課題に起因している」というのが私の持論である。すなわち,人は年代によって果たすべき課題が異なり,それを果たすことで停滞から脱することができるという考え方である。例えば40代には「人を育てる」,50代には「今までの自分を認める」「やり残したことを全うする」という発達課題があり,それを自覚できると変化や挑戦が生まれる。従って,コーチングスキルも人間関係というより,自己変革のための活用(セルフコーチング)が有効だ。例えば,「リフレーミング」という思考の枠を外すスキルの習得をお勧めしたい。リフレーミングは「いったんすべてを認める」「本当の自分の強みを発見する」「成功法則をリニューアルする」というステップで取り組む。
(月刊 人事マネジメント 2017年4月号 HR Short Message より)
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南山大学経営学部卒。製造業でシステムエンジニアと社員教育を担当した後,講師職へ転身。2009年にNPO法人WinWin育成協会を設立し,WWFA認定コーチング資格&講師養成スクールを東京と名古屋で主宰。WinWinの関係づくりをベースにしたコーチング研修で、部下育成はもちろん、意識改革、ワークライフバランス、生産性向上、接遇、社内コーチ認定など、多様な目的に沿ったコーチングスキルの指導に実績多数。 >> NPO法人 WinWin育成協会 http://npo-winwin.net >> Kヒューマンソリューション http://coach-kyoko.com/ |