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タレントマネジメントの導入を成功させるには

(株)オデッセイ 代表取締役 秋葉 尊

 現在多くの企業が注目しているタレントマネジメント。人材情報を活用し適材適所の配置を実現することで業務生産性の向上や離職率の抑制が期待できるとして導入されることが多い。しかし,闇雲に導入するだけでは効果が半減してしまうリスクもある。以下,タレントマネジメントを有効活用するために,導入時に留意したいポイントをご紹介する。

■タレントマネジメント4 つの導入ポイント

【ポイント1】導入目的を明確にする
 何事も,目的やゴールイメージ,ゴールに到達するまでのプランを具体的に考えてから始めるものと認識している方は多いと思う。ところが,流行のタレントマネジメントとなると「タレントマネジメントシステムを導入すること」が目的になってしまっているケースも少なくない。「タレントマネジメント」と一言で表しても範囲は非常に広く,深さもいろいろ考えられる。従って,導入目的を明確化したうえで,どのスコープ(機能範囲)をどのぐらいの期間をかけて導入するのかをしっかりとプランニングすることが重要だ。まずは人材情報を検索・参照できる仕組みの構築を当面の目的に設定し,徐々に拡張させていくなど,実現パターンも様々あるので導入前に社内で十分に検討しておきたい。

【ポイント2】エンドユーザーの理解を得る
 タレントマネジメントに限らないが,新しい仕組みを導入しても一部のエンドユーザーが抵抗し,新しい仕組みを活用しようとしないケースがある。多くは従来からのやり方に慣れていることと,現状に問題を感じていないことが理由にされがちである。タレントマネジメントの場合は,「必要な人材情報は自分の頭に入っている」と認識しているユーザーや「欧米の仕組みは日本企業には合わない」と考えているユーザーに抵抗されるケースが多いようだ。導入前に利用してほしいエンドユーザーを含め,導入の目的や効果について議論を重ね主要メンバーに納得してもらうことが重要である。

【ポイント3】導入目的に合ったツールを選択する
 現在タレントマネジメントを実現するためのツールは,パッケージソフトやクラウドサービスを含め多数販売されている。そのなかから,自社に合ったツールを選ぶことは非常に重要だ。誤った選択をしないためには,まず導入の目的を明確化する必要がある(ポイント1)。そのうえで,自社が将来にわたり実現しようとしているスコープ(機能範囲)は,単一製品(サービス)で対応が可能なのか,必要に応じて拡張していけるのか等の確認は最低限必要だ。価格の比較は分かりやすいが,それだけで決定するのは得策ではない。

【ポイント4】頼りになる導入ベンダーに依頼する
 最後のポイントに導入ベンダーを挙げたい。ツールと並んでベンダーの選定も重要だ。自社のパートナーとして頼りになるベンダーを選びたい。頼りになるベンダーを選ぶ(見抜く)ために注視すべき点は,(多々意見はあると思うが)タレントマネジメントに関するノウハウを保有しているか否かが最も重要と考える。ノウハウの有無は,ベンダーの専門領域と導入実績である程度確認できるだろう。続いて,ベンダーが自社のノウハウに基づき開発した導入テンプレートを保有しているか否か。そして,そのテンプレートを活用した導入提案になっているかもチェックしたい。過去のノウハウが詰まった導入テンプレートを,ベストプラクティスとして活用できれば,コストも抑えられ導入効果も大きくなることから,まさに一石二鳥となる。

 タレントマネジメントの導入にあたっては,以上の4つのポイントを参考にしていただきたい。

(月刊 人事マネジメント 2018年10月号 HR Short Message より)

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「人も会社も『活き活き』とさせる人事ソリューションを提供して社会に貢献する」のミッションのもと人事給与システムはもとより、タレントマネジメントやRPAに至るまで、人事部門や経営者に有益なソリューションを多面的に取り組んでいる。2017年7月「ロボットによる人事の生産性向上・働き方改革を実現するシステム」のテーマで東京都経営革新計画の承認を受ける。ATDタレントマネジメント委員会メンバー、HRテクノロジーコンソーシアム会員、日本RPA協会会員を務める。

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