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キャリアを考えさせる支援が有効
(株)パルトネール 代表取締役 麻野 進
激変する経営環境や法改正などによって部課長を取り巻くマネジメントの範囲が拡大している。ひと昔前まで中間管理職がやらなければならなかったことは「戦略実行」「人材育成」「業務管理」「予算管理」「労務管理」「イノベーション」「チームビルディング」であり,その目的は「部下を率いて組織の労働生産性を向上させること」に集約されていた。これを私は「マネジメント1.0」と呼んでいる。その後,「コンプライアンス」や「ハラスメント」「メンタルヘルス」などへの対応や非正規社員など多様化するメンバーへの対処が求められるようになり,管理職受難の時代などと言われたのは記憶に新しい。これを私は「マネジメント2.0」と位置づけている。そこへ新たな法改正とともに登場したのが「働き方改革」だ。経営層からは「残業を減らせ!」と命令されながら,なかなか業務削減・効率化が進められない実態の狭間でもがいている課長の悲鳴が聞こえてくる。無茶な労働時間削減要求に対して「ジタハラ」(時短ハラスメント),「ハタハラ」(働き方改革ハラスメント)などと揶揄する社員もいる。中間管理職に押し付けられているこの厄介な課題への対応を「マネジメント3.0」と呼んでいる。 ■「キャリア」をキーにコミュニケーションを
このマネジメント3.0の時代に指揮・指導の対象となるのが,いわゆるゆとり世代であり,年長者は既に30歳に到達し,もはや実務の中心的な存在だ。一概には括れないものの「周囲と競わない」「嫌なことを避ける」等の特徴を指摘されがちな彼らには,昇進や報酬といった旧世代のビジネスパーソンとは異なる人材活性化策が求められる。 ■管理職たちのキャリア支援スキルを鍛える
ゆとり世代の部下の成長を加速させ,組織の生産性を上げるためには,「キャリア」をキーワードとしたコミュニケーションが欠かせないことを管理職は自覚しなければならない。まずは部下と対峙してこれからのキャリアを真剣に考える機会を用意したい。「意味ある会社人生を歩めているか?」「意味ある会社人生を歩むためにはどうするのか?」「どのようなことに働きがいを感じるか?」このような問いには正解はなく,答えは本人にしか出せないのだが,コーチのファシリテートなくしてなかなかたどり着かない境地でもある。
(月刊 人事マネジメント 2019年1月号 HR Short Message より)
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国内系大手コンサルティングファームにて、医療機関を中心に、マーケティング・人事管理等のコンサルティングを担当した後、人事・組織コンサルティングファーム取締役、大手SI系コンサルティングファーム シニアマネージャーを経て、現職。全日本能率連盟認定マスターマネジメントコンサルタント。特定社会保険労務士。初級産業カウンセラー。早稲田大学 大学院会計研究科 非常勤講師(2009年度〜)『人的資源管理』担当。主著に『最高のリーダーが実践している任せる技術』(ぱる出版)、『部下に残業をさせない課長が密かにやっていること』(ぱる出版)、『ポジティブな人生を送るために50歳からやっておきたい51のこと』(かんき出版)、『部下なし管理職が生き残る51の方法』(東洋経済新報社)など。 >> (株)パルトネール https://partenairejapan.co.jp/ |