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研修の“やりっぱなし”を防ぐ3つの方法

潟潟Nルートマネジメントソリューションズ サービス開発部 研究員 山田直人

■「投資対効果」の次の課題とは

 人材開発部門の方々と研修効果について議論する機会が増えている。以前は研修効果を測定し,投資対効果を見ることに主眼が置かれていたが,最近は研修効果を持続・向上させる方法に軸足が移ってきたようだ。企業はすでに効果の上がらない研修を整理・削減し終え,残った“本当に必要な研修”で,いかに効果を高めるかに知恵を絞り始めている。
 一方で,研修企画担当者は受講者の日程調整,会場・資料の手配,受講案内,当日のアテンドなどオペレーション業務が相変わらず多く,しかも1人でいくつもの研修を担当しているため,効果の持続・向上策の検討にまで十分な時間を割けなかったり,研修の中身を良いものにすることに精一杯で研修後のフォローにまで手が回らなかったりするのが現実だ。このような状況下,いかに研修効果の向上を図っていくかが課題となっている。

■研修の効果を持続させ高めるために

 そもそも研修効果とは,受講者が研修で学んだことを職場に戻って実践し,研修の目的を達成することである。従って,研修終了時に会場で回答する受講満足度アンケートでは,本当の意味での研修効果を測ることはできない。一定の期間を経て,研修での学びを活かしてどのような実践をしているか,本人や職場にどのような変化が表れているかをとらえることで,初めて研修効果の測定ができ,向上策を練ることも可能になる。では,そのために研修企画担当者は何をしたらよいのだろうか。
 1つは,研修直後に最初の実践行動を促し,その後も継続するよう定期的にリマインドを図ることである。一般に研修の最後はアクション・プランを立てて終えることが多いが,その内容を人材開発部門に提出して終えたのでは意味がない。職場に戻った受講者は溜まった日常業務に追われ,せっかく研修で培った意識も薄れ,そのうち実践を始めるきっかけを失っていく。そうさせないためには,速やかに実践の第一歩を踏み出し継続を促すようなアプローチを,研修後2〜3ヵ月は続ける必要がある。
 2つ目に,実践状況の振り返りをしっかりと行い,実践のPDSサイクルを回すことである。研修後1〜2ヵ月といった比較的短いサイクルで,受講後の実践状況をこまめに振り返らせるのだ。その際,単に研修での学習内容を覚えているか,アクション・プランを実践しているかを問うだけでなく,実践を進める上で障害になっていることや,実践の過程で自分や周囲に起き始めた変化など,本人の内省を促すような観点を加えるとより効果的だ。
 3つ目に,上司や周囲との接点を意図的に作り,関心や支援を得られるようにすることである。受講者が研修で立てたアクション・プランは,少なからず新しいチャレンジになっているはずであり,受講者にとっては,不安や迷いを抱えながらの実践となる。これをすべて本人の意識・意欲次第とするのは,いささか放任すぎるだろう。もちろん本人の意欲,能力の関与は大きい。しかし,それに加えて,職場の上司や周囲が本人の実践に関心を持ち,必要な支援に前向きであることは,受講者の実践の促進,すなわち研修効果に良い影響を与える。研修全体施策の一環として,研修後の受講者が上司や職場のメンバーと研修での学びや実践内容について共有,議論できる機会を設けたい。
 弊社では,WEBを活用してこれら3 つのポイントを受講者全員に行い,かつ研修担当者の負荷を抑えるサービスを提供し(商品名『実践ナビ』),効果・効率が向上することを検証している。今後はWEBを活用した支援策も有効な手段となるだろう。

(月刊 人事マネジメント 2011年11月号 HR Short Message より)

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潟潟Nルートマネジメントソリューションズにて、ソリューションプランナー、商品システムの開発などを経て現職。新人若手社員教育、中堅社員教育、マネジメント教育など幅広いテーマで企業社員向けのトレーニングプログラム開発に従事し、現在トランジション・デザイン・モデル開発プロジェクトリーダー。著作に『企業における役割転換の促進要因と転換内容に関する研究』(人材育成学会論文発表)。現在、実践支援プロジェクトにて研修の効果・価値を高めるための施策の研究・開発も担当。

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