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市場原理型人事の条件
(株)トランストラクチャ 代表取締役 シニアパートナー 森 大哉 ■人事に市場原理を取り入れる時代
人事管理におけるこれまでの主流は,いわば「キャリア丸抱え型人事管理」であった。定年までの雇用と年功的処遇向上を保証する代わりに,どんな仕事を任せるかは完全に会社の裁量というやり方だ。しかし,業容拡大が困難な今の時代,このような人事管理方法にこだわっていたのでは,総人件費を適正に保つことは覚束ない。ポストが増えない状況で社員の平均年齢は上がり(等級構成が高いほうに偏り),総人件費が上がり放題になってしまうからだ。かといって,昇格を無理やりストップすれば,モチベーションダウンが起こって職場には閉塞感が漂い始める。あとはロイヤリティーの強い一握りの社員に頼るしかなくなってしまう。 ■等級・評価・給与制度の整備は不可欠
人事管理に市場原理を導入するには,等級・評価・給与のそれぞれの制度をこれに沿って整備しなければならない。 ■人材開発も市場原理を支える重要な要素に
市場原理型人事では,評価・処遇だけでなく採用を含む人材開発機能も重要な要素になる。市場との接点にあって,会社が求める優秀者を相応の処遇条件でうまく集めて来なければならない。労働市場は発達してきたので,大変ではあるが可能な仕事だ。また,教育研修については,会社特有の戦力を向上させるような実践的な教育に資源を傾斜配分させたい。社員の自発的な意思で受講するような自己啓発型の研修もより拡大させていくべきだろう。市場原理の下では,能力開発も自己責任の部分が大きくなるからだ。また,労働市場との接点という意味では,自分の生み出す成果と給与水準とが需要と供給のマッチングポイントにあるかどうかを検証させるような研修も,今後その重要性を増してくるだろう。
(月刊 人事マネジメント 2014年5月号 HR Short Message より)
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早稲田大学法学部卒業。米国ニューヨーク大学経営大学院修了。三菱重工業(株)に入社し、労務管理・海外調達関連業務に従事。その後、トーマツコンサルティング(株)に入社。戦略・組織コンサルティング業務を経て、同社パートナー就任。続いて、朝日アーサーアンダーセン(株)にて、人事組織コンサルティング部門の部門長として数多くの組織変革を支援。同社パートナーを経て、現職。 >> 株式会社トランストラクチャ http://www.transtructure.com/ |