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アウトプットから考える学びと実践の仕組みづくり
フランクリン・コヴィー・ジャパン(株) 取締役副社長 佐藤 亙
PCやモバイル機器のアプリは頻繁にアップデートされ,品質や機能が向上していく。それを支えるインフラのシステムも然りだ。果たして私たち人間や組織はどうだろうか? せっかく新しい知識や能力をインプットする機会があったとしても,それが確実にナレッジとしてメモリに記録される保証はなく,むしろその多くが忘却曲線の向こうに置かれていく。 ■アウトプットを確実にするインプットとは?
人材開発部は年に数回(あるいはもっと少なく)研修を企画し,アンケート結果を見て,自分たちの仕事を評価する。しかしそれは知識や能力のインプットについての評価にすぎない。貴重な経営資源を投資しているにもかかわらず,アウトプットに変化がなければ,ビジネスインパクトを期待できないのだから,私たちがどこに注目すべきなのかは明らかだ。ビジネスインパクトを高めるためには,インプットの質とアウトプットへの流れを見直さなければならない。あなたの企業ではインプットの投資に見合うアウトプットを得られているだろうか。 ■マインドセットは習慣によって醸成される
私たちはとかく目先のノウハウを検索し,その有益性を評価・取捨選択しがちだが,成熟したマインドセットを持つハイ・パフォーマーは深い思考を重ねることで知恵が生まれるという原則を理解しており,真のビジネスインパクトをもたらすために自身をアップデートする術を身につけている。これを組織に当てはめて全体のマインドセットをアップデートするためには,まず個人が原理原則に基づいた良質なコンテンツに,毎日・毎週,触れることが効果的だ。忘却曲線の影響を退け,内省を深める習慣を身につけるためだ。これを組織的に展開するには,学びと実践の機会が「(年数回の)点ではなく,線として継続できるようにプロセス化する」必要がある。これを弊社ではインパクト・ジャーニーと呼んでいる。日々コンテンツに触れることで,立ち止まって思考を深める機会が得られる。あるべき姿と現在の自分のギャップに気づくとき,人はそれを埋めるためにどうすべきかを考えるようになり,実際のビジネス場面でも知恵を見出せるようになるのだ。
(月刊 人事マネジメント 2018年7月号 HR Short Message より)
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1988年、モトローラ社に入社以来、一貫して人事畑を歩む。1993年にモルガン・スタンレー証券社に転職。パフォーマンスマネジメントを中心とした企画業務を経て、人事ジェネラリストとして人事業務全般に従事する。その後、日本ケイデンス・デザイン・システムズ社人事マネージャー、日本マイクロソフト社人事本部長、SAPジャパン社人事本部長・バイスプレジデント、日系ベンチャー企業の執行役員を歴任した後、2006年にフランクリン・コヴィー・ジャパン副社長に就任。「7つの習慣」をはじめとした研修全般のプログラム開発、講師マネジメント部門、オペレーション部門を統括している。 >> フランクリン・コヴィー・ジャパン(株) http://www.franklincovey.co.jp |