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人が「集まる」会社にするには?

ブリッジコンサルティング(株)/ひとつばし社会保険労務士事務所 代表 一橋克也

 人手不足。どの企業も深刻な悩みだと感じます。人材採用のために,人を「集める」企業は多いと思いますが,人が「集まる」企業となると,なかなか課題が多いのではないでしょうか? 特に中小企業では,「人が集まらない」という問題がたいへん深刻になっています。人事の仕組みのなかで,採用・教育・評価の3要素を強化することは必要です。そして,これら人事の3要素を支える土台となるコンプライアンスをしっかり整えることはさらに大切です。いくら素晴らしい採用・教育・評価の仕組みがあったとしても,コンプライアンス違反があると人事の仕組みはうまく回りません。やって当たり前のことは当たり前に行い,そのうえでオリジナルな要素を強くしていくべきでしょう。

■自社の奥行き(良さ)を把握しよう

 大企業を大円で表し,中小企業を小円で表したときに,正面から見ると,大きい円である大企業は中小企業の小さい円に比べて非常に大きいので目立ちます。しかし,中小企業が一見小さい円に見えたとしても,その円を横から(働き方や経験やスキル等で)見ると,そこで働く社員さんにとっては,大企業に負けないくらい,非常に「奥行き」(企業の良さ)のある円柱になっているケースは実際にたくさんあります。しかし,その中小企業の「奥行き」(企業の良さ)は,なかなか見られていない(知られていない)ことが多いようです。というより,そこで働く社員さんや経営者も,その自社の「奥行き」(企業の良さ)に気づいていない場合も多いのです。人が「集まる」会社にするためには,まず,自社の良さ(奥行き)をできるだけ多くの人に知ってもらうことが必要です。この良さがなかなか分かりにくい場合は,プロジェクトチームを組んで,企業の良さをみんなで共有することをおすすめします。
 1つの事例ですが,私は社会保険労務士ですので,就業規則の内容に沿って研修形式でみんなの意見を共有するという取り組みを進めています。その企業で働くとはどんな意味があるのか,どんな人と一緒に働きたいか,就業時間の使い方や休暇の考え方等そこで働いている環境について徹底的に共有していくと,企業の良さが再発見できたり,参加した皆さんが考えていることを周りが理解できるようになったりして,非常に素敵な場になります。また,その共有内容を冊子にまとめることで,採用面接時に候補者に見せて企業の良さをアピールすることもできますし,ホームぺージやSNS等を活用して情報発信していくことも可能です。ただし,できていないことや,これから取り組もうとすることを,既にやっているかのように情報発信するのは避けなければなりません。人手不足だからといって,入社前に聞いていた話と,入社してから実際に働く職場と比べたときにギャップがあると非常に問題があることはお分かりだと思います。

■社員のパーソナリティの確認も大事

 人が「集まる」には,もう1つ意味があります。集まっていただく候補者にはできるだけ,その企業に合った人が必要であるということです。次から次に候補者が面接に来てくれたとしても,その候補者が企業に合った人でなければ,なかなか採用に結びつきません。そのために,企業が社員の1人ひとりのパーソナリティ(内面)と向き合い,その企業,職種,部署に合ったパーソナリティ(内面)かどうかを確認しておく必要があります。どれだけ,その企業や部署が素晴らしい環境であったとしても,チームのパーソナリティに合った人材でなければ,優秀な人材がせっかく縁あって入社しても,チームに合わずすぐに辞めてしまう可能性があります。

(月刊 人事マネジメント 2019年3月号 HR Short Message より)

HRM Magazine.

 
大学卒業後、株式会社荏原電産に入社、その後社員40人の企業の社長を務めた経験を持つ。現在は、人財コンサルタント・社会保険労務士として、社労士業務の労働保険や社会保険の手続き、助成金業務だけでなく、採用・教育・評価といった企業のご支援を中小企業から上場企業まで幅広く活動している。また、セミナーでは、愛媛をはじめ、各地で行っており、採用・教育・評価といった内容から、企業の社員のパーソナリティ・内面力の向上、行動力のアップにつながる内容まで様々なセミナーを積極的に行っている。著書:『会社を強くするパーソナリティマネジメント』(セルバ出版)

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