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外国人従業員“定着率向上”のコツ

(株)グローバルトラストネットワークス 代表取締役 後藤裕幸

 日本の少子化に伴う労働人口減を解消するための新在留資格「特定技能」が昨年4月に施行されるなど,外国人就労者への期待が高まっています。厚生労働省によると同年10月末時点での外国人労働者数は165万人,雇用している事業所は24万ヵ所と多くの企業で外国人雇用が進んでいます。雇用関係にあるからにはお互いに長く在籍してほしい,長く働き活躍したいという思いがありますが,企業側が十分だと考えている外国人従業員のサポートと外国人従業員の望むサポートにはギャップがあります。

■不満があっても「YES」としか答えない

 当社の従業員は7割が外国籍のため,日本での滞在期間もそれぞれです。外国人従業員と長く接していると来日して日の浅い外国人へのサポートは当然として,実は日本滞在歴の長い方も悩みを抱え込んで,誰にも相談できずにいることに気づきます。
 文化・生活習慣の異なる外国人が生活するには日本独自のルールはハードルが高く,たとえ日本での生活が長く日本語が堪能,収入にも問題がなくても部屋を借りられない,与信システムの関係から金融サービス(クレジットカードなど)を受けられない,医療機関,役所などの案内で,文字は分かるが意味を正確に理解できないといったことも。ビザの更新,家族構成の変化など,滞在が長いがゆえの慣れない手続きなども多くあります。
 実は「あなたは日本の生活に慣れているし,日本語も上手だし心配いらないね!」と周囲から認められている人ほど,悩みを相談できずにストレスをため込んでしまう傾向にあります。その結果仕事に集中できずに離職を選ぶこともあるのです。彼らの「大丈夫です!」を鵜呑みにせず,様々なシチュエーションを想定して具体的に答えやすく聞くこと,日本人にとっての当たり前の前提を一度外して彼らと目線を合わせることが大切です。

■ストレス緩衝要因(発散させる方法)を増やす

 外国人が感じるストレス要因は言葉の壁,コミュニケーションの取りにくさ,文化・価値観・考え方の違い,生活環境の変化,生活習慣の違いなど多種多様です。そのうえ新型コロナウイルス感染予防のため自粛生活を強いられている状況では,以下のストレス要因も考えられます。
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・ 日々更新されるビザの申請・在留資格変更の情報への不安
・ 入国規制,再入国制限,仕事への影響などを考えた結果,母国への一時帰国ができない焦燥
・ 単身来日のため家族と離れている状態の長期化,生活への不安
・ 新型コロナに感染した場合の医療や生活の保障を適切に受けられるのかという不安
・ 新型コロナに関連する外国人差別への不安
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 当事者にしか分からない不安,相談先がなく解決できずにため込む疑問,そして時差などにより母国の家族と話せない孤立感等を募らせやすくなります。対策としては,@情報を提供する,A周囲からのサポートを増やし,ストレス緩衝要因を増やすことが大きなポイントとなります。普段以上に気にかけコミュニケーションを取るなど工夫することが大切です。何となくではなく積極的に,お節介かな,くらいに気にかけてみてください。
 安心を提供することが,会社への信頼につながり,日本で家庭を築く,または国に残している家族を日本に呼んでも大丈夫だと考えてくれるでしょう。外国人は海を渡り覚悟を持って日本で働いています。私たちも彼らの人生に責任を持ち,採用時のサポートだけではなく,ずっと伴走し支える環境を整えることが定着率の向上につながります。

(月刊 人事マネジメント 2020年10月号 HR Short Message より)

HRM Magazine.

 
熊本県出身。中央大学在籍中に、ITベンチャー起業。2003年、(有)ミューゲート、2004年、アジアビジネスコンサルティングの(株)ミューを設立。自分以外は外国人社員のミュー代表時代、様々な相談や保証人を引受けるなどの経験から“日本は外国人にとって住みづらい国”を実感。2006年に外国人の生活総合支援企業として社会問題解決に取組む(株)グローバルトラストネットワークスを設立。外国人専門の賃貸住宅保証を柱に、不動産、通信、クレジットカード、人材事業等を展開。

>> (株)グローバルトラストネットワークス
 https://www.gtn.co.jp/