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ダイバーシティ経営を成功させる3つのポイント

Tokyo Creative(株) 代表取締役 中川智博

 Tokyo Creativeは「日本人も知らないような日本の魅力を世界に発信する」をビジョンに掲げ,訪日外国人向けのインバウンドのプロモーション事業を行っています。外国人を集客するには「外国人目線」が重要です。そのため,社員の約6割が外国人で構成されています。また,約7割が女性社員というダイバーシティな企業です。以下,ダイバーシティ経営を成功させるポイントをご紹介します。

■外国人6割・女性7割の職場のリアルから

 ダイバーシティ経営を続けていくと,多角的な視点による問題解決のアプローチ,外国人だからこそ制作できるクリエイティブ等,会社にもたらされるメリットは非常に大きく,結果として売上も向上しています。一方,課題にも多く直面します。経験を通じて気づいたのは,人材マネジメントにおいて,万国共通な点と,日本独自ともいえる相違点の両面があったことです。以下に,具体的な採用,定着,活躍のポイントをご紹介します。
●ポイント1 : 採用
 採用のポイントは目的をハッキリさせることです。海外では当たり前の概念であるSOW(Statement Of Workの略)を明確にしましょう。つまり,「採用にあたってあなたのこのスキルに期待しています。こういった業務に取り組んでもらいますよ」という内容を明確化するのです。昨今,ダイバーシティ経営が独り歩きし,「とにかく外国人採用だ!」と事業に関連の薄い人材を採用してしまい早期退職に至るケースも珍しくありません。日本的な発想で採用してから育てて配属先を考えようというやり方は通用しません。加えて,これは万国共通ですがビジョン,ミッション,バリューへの共感は重要です。候補者に対して解像度高く会社の存在意義や,候補者に期待することを明確に伝えましょう。
●ポイント2 : 定着
 定着のフェーズでは「フラットに接する」がポイントです。日本的な年功序列,均一的評価,先輩後輩の関係は,ダイバーシティ経営を進めるうえでは見直す必要があるでしょう。年齢,性別,国籍に関係なく期待に対して評価はどうだったのかをフラットでフェアに伝えるのです。そのためにもSOWの明確化がポイントになります。加えて,フラットなコミュニケーションも必要です。ファーストネーム,ニックネームで呼び合えるような雰囲気を作り,相手をリスペクトしたうえで,何でも言える環境(心理的安全性)を作っていきましょう。ポイントは,役職者がフランクな雰囲気を醸し出すことです。ユーモアに富んだ役職者が多ければ,メンバーたちも「こんなことまで言っていいのか」と発言を促す機会になります。心理的安全性の確保により,活発な意見交流が起きアイデアも生まれやすくなり,ダイバーシティ経営の醍醐味でもあるビジネス上の課題解決につながっていきます。
●ポイント3 : 活躍
 活躍におけるポイントは「文化の違いを最低限ティーチングする」ことです。日本人にとって当たり前でも,海外ではそうではない常識は多々あります。なかでもビジネスマナーは最低限知っておいてもらいましょう。名刺を渡す順番,着座する場所等の立ち居振る舞いで,お客様との信頼関係が崩れる事態もあるからです。一方で「これがルールである」「日本人のやり方,考え方である」「あなたもこれに倣って仕事をすべきである」という押し付けは,ダイバーシティの特長を消しかねません。最低限お客様には失礼にならないようティーチングし,それ以外の仕事の進め方は個人を尊重します。評価の際に,改善点を伝え成長を促していきましょう。

(月刊 人事マネジメント 2021年11月号 HR Short Message より)

HRM Magazine.

 
1987年滋賀県生まれ。同志社大学文化情報学部卒業後、複数社を経て、2018年5月Tokyo Creative入社。2020年10月、Tokyo Creativeがレッドホースコーポレーショングループ参画と同時に、同社代表取締役に就任。YouTubeなどを活用したデジタルマーケティングを得意とし、訪日外国人観光客を集客手法についての講演も全国で行い、インバウンドに関するノウハウの啓蒙活動も実施。これまで自治体、DMO、企業の海外デジタルマーケティングを100社以上支援しており、観光・デジタルマーケティングに関連する講演は、外務省、新潟市、三重大学、川村女子大学、杏林大学等他多数で実績あり。観光庁「インバウンドの地方誘客促進のための専門家」、観光庁「世界水準のDMO形成促進事業」における外部専門人材認定、農林水産省が推進する「農泊地域課題解決の専門家」、東京観光財団運営「観光まちづくりアドバイザー」など精力的に活動。

>> Tokyo Creative(株)
  https://www.tokyocreative.jp/ja/