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業務設計士が提案する改善サイクル

(株)BYARD 代表取締役 武内俊介

■「業務設計士」が提案する「KAIZEN」の手法

 私は「業務設計士」として,これまで様々な業種の業務効率アップをサポートしてきました。多くの企業は外部のコンサルタントに業務の棚卸しや業務フローの構築を依頼しているため,業務設計は専門家領域のスキルだと誤解されているかもしれません。
 しかし,「業務設計士」の視点からすると,業務設計の本質はPDCAサイクルを高速で回し続けることであり,業務棚卸しや可視化はその一部に過ぎません。もちろん,業務プロセスを可視化するだけでも,すぐに効果は表れますが,それは長続きしません。継続的な業務効率化のために重要なのは,可視化した業務プロセスをきちんと運用まで落とし込み,定期的に振り返り,改善を行うことです。設計から運用,改善までを一気通貫して実施することではじめて,フロー図やマニュアルが絵に描いた餅ではなく,業務効率化のための道しるべになるのです。
 もう1つ重要なポイントがあります。それは,業務設計に関するあらゆる活動を組織内で共有しながら実施することです。業務プロセスを可視化して,きれいなフロー図を描くだけでなく,現状の課題やあるべき姿,改善の意図も含めて関係者全員に共有しながら進めることで,その後の運用や改善をスムーズに行うことができます。
 英語でも一般化している「KAIZEN(カイゼン)」とは,継続的かつ組織的に行う改善活動を指します。魔法のように一発で成果の出る改善手法など存在しません。当たり前に運用・改善のサイクルを日々回し続ける組織を作ることも,業務設計においては重要なのです。

■業務効率化のカギとなる3つの「目」

 業務設計は,よく知っている自社の業務プロセスに対して行うのであれば,適切なフレームワークやフォーマットに落とし込むことで実現します。業務プロセス全体を見つつ,下記3つの「目」を意識して,設計・運用・改善を行っていけば自ずと業務効率化は実現します。
@虫の目:現場の作業の一つひとつを詳細に把握する視点
A魚の目:自分がどのような流れの中にいて,どの方向に向かっていくべきかを把握する視点
B鳥の目:複数人で行う業務の流れを把握する視点
 しかし,Excelやタスク管理ツールでこれらの3つを同時に把握しながら業務を進めていくには,かなりの労力とスキルが必要となります。ほとんどの場合は「虫の目」か「鳥の目」のいずれかを把握するのが限界でした。
 そこで,当社はこの3つの目で業務を把握することを可能にしたオペレーション・マネジメントツール「BYARD」を開発しました。私自身が業務設計をするうえでほしかった機能を統合したものです。Excelやタスク管理ツール,プロジェクト管理ツール,マニュアルなどに散らばっている情報を一箇所に集め,業務の流れに沿って自然にオペレーションが回るように工夫されています。特徴は次の5点です。
@業務フローの整理と問題点の洗い出し
A無駄な工程や重複作業の排除
B情報の一元管理
Cリアルタイムの進行状況把握
Dあらゆる業務の履行管理
 こうしたツールをうまく活用し,3つの「目」を意識しながら業務を行うことで,業務の可視化→運用→改善のサイクルが回っていきます。その結果,オペレーションの統制と業務の効率化も実現されていくはずです。

(月刊 人事マネジメント 2024年8月号 HR Short Message より)

HRM Magazine.

 
業務設計士、税理士。金融系での商品開発、システム企画を経て、会計事務所に勤務して税理士資格を取得。その後、ベンチャー企業のバックオフィスを中心に営業やマーケを含めた業務改善を手掛ける。バックオフィス×ITという領域で、ツール導入から運用設計まで幅広く手掛けている。

>> (株)BYARD
  https://byard.io/